「これ、授業のノート。自分なりにまとめたんだ」



「え…?」


照れくさそうに頭を掻きながら、櫻田君があたしにノートを手渡してくる。



一冊、二冊……数え切れないほどの色ちがいのノート。





「テストも近いし、一応。分からないとこがあったら、遠慮なく言ってくれ」


あたしのために、まとめてくれたの…?




一番上のノートを捲る。そこには丁寧な字が並び、時々ポイントと書かれた付箋が貼ってあった。分かりやすく所々に赤線も引いてある。



「櫻田君……ありがとうございます…!」




嬉しい。勝手な都合でズル休みしていたのが、すごく恥ずかしく思えた。



「無理はしなくていいから」




そう言ってふっと優しい笑みを溢しながら、あたしから離れる橘君。


「…はい」




辛いからって目を瞑ってたって仕方ない。前に進まなきゃ。


諦めるなんて嫌だもん。やるだけやってみよう。





「もう大丈夫です。明日からちゃんと学校行きます!」