「心底惚れてるらしいな、じゃあその女のためにちょっと我慢してもらおうか!!」




長髪の男が俺を後ろから押さえつけ、赤毛が俺を殴る。二発目。







「やだっ…やめなさいよ!」



未來が泣き出しそうな声を上げて、ハッと我に返った。






「い…ってぇな……」




殴られた頬に少しの痛みを感じる。唇を噛み締めたら、血が滲んで鉄の味がした。






「……心底惚れてる、か」




脳裏に蒼空の笑った顔が浮かぶ。にやにやしてる自分に気付いて、恥ずかしくて手で口元を覆った。



……自分キモい。






「別に、隠してたつもりはねぇんだが…」



「っ、危ない…!!」






突き出してきた拳をひょいとかわし、逆に相手の腰骨辺りに蹴りをくれてやる。



そう何度も殴られちゃ格好がつかない。それに痛ぇのはちと勘弁。








「俺は愛してるぜ。これから先も、ずっとな」




「!!」




いち、に、さん……!!っと、適当に殴り付ければ男たちはあっさり逃げていく。







「……」



……何か蒼空の事考えてたら無性に逢いたくなってきた。