極上お姫様生活―2―【完】



「フラれるのが、離れるのが怖くて、言い出せないでいる」



「っ、…」




ギリリ、と翼が唇を噛み締める。一番痛いところをあたしが突いているから。


「逃げても解決なんてしない、分かってるのにどうして目を背けるんでしょう」





少し前の自分を思い出しながら、その時の自分に言い聞かせるようにあたしは言葉を続ける。





後悔、してほしくないから。






「ちゃんと向き合うべきなんじゃないですか」



「…そんなの言われなくたって、」


「本当に分かってるんですか?」





じわり。


膝の上で握りしめた拳が汗で濡れる。




「分かってて逃げてるんですか、卑怯ですね」



「っ、!それは…っ、向こうだって同じじゃない…!!」






あ、爆発させちゃった。


バンと音を立ててテーブルが揺れる。甘ったるいコーヒーも支えをなくして傾き、呆気なくこぼれてしまった。




「私だってそんな事分かってる…!結局理由を聞くのが怖いだけなの…っ、」