極上お姫様生活―2―【完】



強い口調できっぱり否定する。一番否定したいのは翼の筈なのに。






「話し掛けても返事は素っ気ないし、いつも上の空で私の話なんて聞く気ないみたいだし」



クルクル、コーヒーをかき回しながら笑う。悲しい気持ちを隠すように。





「二人きりになってもキスすらしてくれない。それどころか仕事で用があるとか言ってどっか行っちゃうのよ。私と二人でいるのが嫌みたい」


翼の泣きそうな顔を見ていると、あたしまで鼻がつんと痛くなった。でも流すまいとグッと堪える。





泣くのは、あたしじゃないから。




「……もうさ、嫌いになったならそう言えばいいじゃん?私だって束縛する気ないし。中途半端に繋ぎ止められてる方がよっぽど辛いっつーの」






「でも、本当は別れたくないから言わないんでしょう?距離があることも、気付かないフリしてる」





あたしがそう言うと、翼は苛立ったようにかき混ぜていたスプーンをテーブルに放った。




ガチャン、金属の冷たい音がする。