「喧嘩したんですか?」


「ただの痴話喧嘩じゃないの、」




ぐすぐすと肩を震わせて泣きじゃくる翼を見て、胸が締め付けられる。







「無理に話さなくても、」


「ううん大丈夫。蒼空にしか話せないから、聞いて欲しい」





そう言われて覚悟を決めなおす。翼はあたしを信じて話してくれるんだから、どんな話でも最後まで聞かなくちゃ。




「じゃあ放課後、あたしの部屋でいいですか?」





今は昼休みで、何気なく保健室に遊びにきただけだから。






「お互い放課後までに覚悟決めておきましょう」


「…分かった」









教室に戻る途中で松神先生とすれ違ったけど、あたしは目を合わせることすら出来なかった。


先生も何か言いたそうにあたしを見たけど、すぐに向き直って行ってしまった。





二人の間に、一体何があったんだろう……。



5時間目も6時間目も授業に集中できるはずもなく、あたしはぼんやりと窓を眺めて過ごした―――。