「今まで通り、いつも通りにやれば絶対大丈夫ですよ」


この一週間で橘君は本当に勉強ができるようになったと思う。苦手分野がないのも強みだよね。




「そうだよな。うん、俺頑張るから!」


「はいっ」





あたしたちがにっこり微笑み合っていると、八木原君が口を開いた。





「褒美は?」





一瞬の間。



え?あたしと橘君、ノートを睨み付けてブツブツ呟いていた遥登君も、はっと顔を上げた。




「ほ、うび?」


「あぁ。赤点取んなかったら、何かご褒美くれよ」




そ、そんな馬鹿な!あたしに利益はないじゃないですか!




「あーそれいいな。うん、それなら何倍も頑張れそうだ」



「え、あの」



「ご褒美かー!すっごいナイスアイデアだね!」



ちょっとー!





わいわい盛り上がってあたしの話なんて聞いてくれそうにない。





困り果てて視線を泳がせていると、あたしをじっと見つめていた櫻田君と目が合った。



櫻田君なら助けてくれるはず…!