極上お姫様生活―2―【完】




「……怪我してる」


え?




櫻田君に促され、その指が示す方へ目を動かす。それは自分の膝へと辿り着いた。



「あ、」


ほんとだ……さっき机に当たった時かな。





傷というのは、そうと分かると急に痛み出すもので。あたしは痛みを我慢するために痛々しく腫れたそこを手で覆う。



覆ったところで痛みが和らぐはずないんだけど……。







「保健室、行くか」



八木原君があたしに近づき、しゃがみこむ。何してるんだろうと首を傾げた瞬間、ふわり身体が宙に浮いた。




「え、え!!?」



あれ、なにこれ!?もしかして、お姫様抱っこされてる!!?





「じっとしてろ、落っこちるぞ」


周りの目なんかこれっぽちも気にしてない様子で、八木原君はあたしを抱えなおす。




無理です無理無理!こんなの恥ずかしすぎるって!!!





八木原君の腕の中で抵抗を試みるものの、それは呆気なく失敗に終わる。彼の力には到底敵うはずがないのだ。



分かってるけど、だからといってじっとなんてしていられない。





「お、降ろして下さい……!」





「抜けがけすんなよ斎!俺が連れて行くって!!」