「まず」



誰もが蒼空の豹変ぶりに目を丸くし、しんと静まり返る教室に蒼空が椅子を引く音だけが響いた。





どかっとそこに座り、足を組むついでに腕も組む。……怖い。





「あんたたちが誤解してること。その誤解を解かなきゃいけないよね」




「お、俺たちは誤解なんかしてねぇよ。あれは事実だろうが」




遊哉が動揺しつつも、すかさず反論する。



確かにそうだ。蒼空があの男を選んだのに変わりはない。俺たちはそれを目の前で見せつけられたんだから。







「違うっつってんの」




ピシャリと蒼空が言い切る。空気がひやり凍てついた気がした。






「な……何が違うんだよ?」




「話をつけてきただけ。どうしてあんなことしたのか聞いてきただけ。付き合う気なんて最初からなかったし、そのこともちゃんと伝えてきた」




蒼空の声が、言葉が教室に反響する。俺たちを真っ直ぐ見据えながら、一言一言大切に口にしていく。






「……でも、ごめんなさい。勘違いさせちゃったことには変わりないし。あの時のあたしの言動は確かに軽率だったと思う」











口調が変わっても。



態度が変わっても。





目の前にいるのは間違いなく蒼空だ。俺が知ってる……大好きな蒼空だ。