こいつの何気ない言葉が俺をズキズキと痛め付けていく。



「女、とか言うな」





好きで女よりも可愛い顔してるわけじゃねーんだよ。空気読め。




「あれ、もしかして気にしてた?」



「うるさい」





この女、ほんと腹立つ……。







「でもさーいくら蒼空の為とか言っても、自分偽って苦しくないの?」




「……は、?」



「可愛いとか言われるの嫌がるくせに、蒼空の前ではそういう態度とるわけでしょ?なーんか間違ってる気がする」





ずかずかと、迷いも遠慮も慈悲すらもなく俺の心に踏み入ってくる。……俺らほとんど初対面だぞ?何なんだよ。





「はーると君」



「……っるさいなぁ!そんなの君に言われなくたってっ……!」






―――分かってる。なんせ一度フラれてる身だし。もう僕に脈なんてないことくらい分かってるんだよ。




だけど、それを誰かに言われるのは嫌だ、むかつく。







「……遥登君、あたし森元 未來っていうの。覚えてね」



「なに、急に」





そういえば名前知らなかったけど。




「可愛いっていうのはあなたにとって悪口になるかもしれないけど、あたしにとっては嬉しいことなんだよ」



「え……」