会話なんていらない。

ただ、こうして寄り添って居られる時間は、これから少しは増えるかな。

地域課の仕事は、良くわからないのが本音。

地域課は地域課で大変かも知れない。

だけど、これまでの経験が活かされて出来ればと思う。

小さい子からお年寄りまで、優しい“お巡りさん”となり、支えられたらと思う。



「難波愛依です、よろしくお願いします」



――3日後、私は木ノ島南交番の交番所長としての辞令が降りた。

以前の所長が地域課でも、内勤となり、署での勤務に当たる事で、調整してくれたのだ。

他の巡査たちが24時間の勤務となるけど、私は日勤のみ。

勤務時間はハードではないけど、やはり経験のない職務だった為、覚えるのに必死。

地域課課長から教わった時にメモした手帳が手放せない。



「おはようございます。いってらっしゃーい」



交番の前に立ってると、幼稚園の子たちが近くの公園へお散歩に行ってる。

声を掛けると手を振ってくれる為、私も大きく腕を振り返した。



「「「『お巡りさん、バイバーイ!』」」」



「バイバーイ!」




“刑事さん”、では本当になくなった。

子供たちに好かれる“お巡りさん”になった。

でも、どこか少し寂しい。

慣れるのは、いつだろうか。