「隣が?けど、暑いのは火事の後なら多少は」



「わかってます。鎮火した事を、私も倉庫を見て確信してます。けど、放火の形跡もないし、地下に原因があるんじゃないかと思うんです」



「“地下”……」



「所長。内部を捜索した時、大きな排水溝がありましたが」



「あぁ。だが、それは結果として下水管と通じてるだろ」



「……すみません、消防士さん」



「はい?どうなさいました?」



所長と隊長と3人で話し、考えられる理由を探る。

しかし、所長は私の言ってる事は理解してくれても、首を傾げてる。

そこへやって来た1人の女性。



「部屋が暑い?壁や床が?」



「えぇ。火事の影響でしょうか?」



「ちょっと、お邪魔します!」



「私も行きます!」



どうやら声を掛けて来た女性は隣の住人。

私は隊長に続いてお邪魔すると、玄関から既に暑く、スリッパなしで歩けず、壁に手を当てると、強火に掛けた鍋の取っ手に誤って触れた時のようだ。



「難波さん、出ましょう!お風呂の排水溝から煙りがあがってる!隣の倉庫の事も考え、半径2キロ圏内に避難指示を出して下さい!」



「わかりました!」



この地下で、何が起きてるかはまだ不明。

ただ、私は家を飛び出し、車へと走った。