この施設には、僕が小さい頃からずっと一緒のやつだっている。そいつと、別れるのは、少しだけ嫌だった。
でも、いずれにせよ、ここから出ていかなきゃいけないなら、いつ出ていったって同じことだなと、僕は思った。
「はい。わかりました。」
「じゃあ、椿は部屋に行って、自分の荷物を整理して、バックに積めたらまたここに来なさい。」
僕は、頷いて園長室を出た。
もうこことは、お別れか……。僕は、他の小学生みたいな生活は、出来なかったけど、とても楽しかった。この施設には、仲のいいやつだっていたし、なに不自由も無かった。
僕は、部屋に入ると、園長さんに買ってもらった大きな鞄に荷物を積め始めた。
共同生活なので、荷物は必要最低限の物しかなかった。僕の小さな机には、本と教科書しかない。
僕は、服と本を大きな鞄に入れ、教科書はランドセルに入れた。大きな鞄は、パンパンになった。
重い。僕は、大きな鞄を半分引きずりながらまた園長室に向かった。
ドアの前で、僕の足は止まる。ドアが少しだけ開いていて、なぜかはわからないけど、僕は二人の会話を盗み聞きしていた。
「それにしても、佐藤さん。なんで、椿なんですか?」



