◇ side.Yui ◇



「うっ……ううっ……ひっく」


泣き止もうと頑張ってみるけれど、涙が止まらない。わたしはスマホを握り締めたまま、体を丸めて泣き続けた。


どうして?
どうしてなの、コータ?
さっき電話ごしに響いた怒声が、今も耳から離れない。


『しつけえな! 黙ってろ!』


コータ……本気で怒ってた。きっと、わたしがしつこく電話したせいで……。


「ううー……っ」


そりゃあいつもケンカばかりしているふたりだけど。コータがあんな風に本気で怒鳴ったのは、初めてだった。


もうダメなの? 
わたし、やっとコータに告白する決心したんだよ?
なのにコータはもう、わたしのこと嫌いになっちゃったの?

寒さも忘れ、ひたすら涙を流し続けた。めったなことでは泣かないのが自慢だったのに。

だけどコータに嫌われてしまったのなら、どんなに強がったって同じことだ。