頭が痛い。


まるで鉛でも詰まっているようだ。


じわりじわりと鈍痛が脳を侵食してきてるみたいで、


でもこの痛みに覚えがあった。


―――あれは確か……


そうだ、あたしがこのお屋敷で“死んじゃった”ときの感覚―――


あたしまた“死んだ”の―――


いや、一回死んでるんだからこれ以上死ぬとかないでしょう。


もしかしてこれが成仏?


あたしまだ零くんに気持ち伝えてないのに。



このまま「さよなら」なんてイヤだよ。




イヤだ…



イヤだ!!あたしまだ伝えてないこといっぱいあるのに!!



いや――――!!!



―――



ピ…ピ…ピ…ピ…


機械的な電子音が遠くで聞こえてきた。



「あ、明日未…明日未……」


お母さんの声もぼんやりと耳の奥で捉えた。


お母さん……なんで泣いてるの?


「あ、あたしがお化け屋敷に行こうなんて言い出したから…ごめん…ごめんね、アスミ…」


親友のサヤカも泣いてる。


「サヤカのせいじゃないよ。あたしも…アスミを置いてきちゃったから」


アヤメの沈んだ声も、今にも泣き出しそうに震えていた。


あの気丈なアヤメが……




サヤカ、アヤメ……あたしが死んじゃったのは二人のせいじゃないよ。


ごめんね、辛い思いをさせちゃって。




お母さんも……悲しまないで。




あたしはここに居る。






ここに―――






ここに居る。