あたしは教科書を忘れたことにして、
授業中は由美に見せてもらった。
そして昼休み……。
あたしは教科書購入を頼みに職員室に足を運んだ。
「どうした? 教科書が全部必要だなんて……」
「あ。いえ……」
「ふーん……。じゃあこの紙にクラスと名前。あと封筒にお金を入れて持って来てくれ」
「はい。ありがとうございます」
陽とは今日は顔を合わせづらい。
一緒に帰らない方がいいだろう……。
そう思い、昼休みの残りの時間に3組に立ち寄った。
「どした? 珍しく3組に来るなんて。いつも人が多いからって来ないのに……」
優があたしに気づいて声をかけてくる。
教室を見回しても陽がいない。
休み?
「優。 陽、来てる?」
「あー……。陽は今日、サボり。昨日オールでバイトしてたみたい」
「そっ……か……」
「んなあからさまに寂しい顔すんなよ」
「してないよ! 優、ありがとう」
安心した。
陽が学校に来てなくて。
たびたび学校をサボる陽。だからとくに連絡も取らない。