「あー、疲れた!」




タオルで汗を拭いながらスポーツドリンクを口に含む。

あれだけ走れば疲れるか……。






「陽、ジャージありがとう」


「ん?」


「ここ、エアコン当たるの気づいてたんだね」






陽があたしに試合前ジャージをかけたのは、
エアコンが当たって寒い場所だってわかってたから。

優しい……。

今日だけで、好きがたくさん積もるよ。






「まぁ……な」


「フフッ。陽、試合勝てる?」






照れ隠ししている陽がかわいい。
でも、休憩中だし試合のこと考えてほしい。

そう思い話題を変えた。






「まあ、勝てるんじゃね?」


「うわ、テキトー……」


「大丈夫大丈夫! 後半、俺と優のコンビプレー見せてやるから」





ニコッと笑い、優に絡みに行った陽。

仲がいいのが遠目でわかる。
あれだけ仲がよければ、コンビプレーもうまいんだろうな……。


そんなことを考えているうちに後半戦はスタートした。







「優」


「陽」


「1本行くぞ」


「おう」






ふたりでアイコンタクトを交わし、陽はすぐにドリブルで相手を抜いていく。


……速い!


そのスピードに驚いていると、
陽はシュートホームを取った。バスケ初心者でもわかる。

あんなに堂々と行ったら……センターにブロックされちゃう。


と、おもった瞬間






「優!」






陽がうしろにいた優にボールをまわし、優は受け取ったボールを落ち着いてゴールに決めた。






「……すごい」






ただこの一言しか出なかった。

そんな陽と優のコンビプレーと先輩と頑張って練習してきた成果が発揮され、試合は圧勝。


爽やかに笑う陽の周りにはたくさんの人がいた。