ホテルでの豪勢な食事、由美と奈菜と弾む話。

夜更かしをして、あたしたちは2日目を迎えた。


美ら海水族館。
あたしたちの目を奪ったのはやっぱり大水槽。


奈菜が優を連れて行くのが見えた。

由美とあたしは遠くで静かに見守る。





「奈菜、大丈夫かな……?」


「怖いよね……。フラれるのがわかってる告白だもん」


「由美……」


「わかってて告白するんだから、なにを言っても平気でしょ」






由美の核心を突く一言。

あたしは奈菜に幸せになってほしい。
優にももちろん

でも、どうして優はあんなに想ってくれる奈菜を想ってあげないの?



優と約束していたベンチで待った。
どう答えたんだろう……?


しばらくして






「待った?」


「優……。あの……」


「とりあえず話はあとっ! 離島見学で話すから! 今はこっちが優先」





あたしの手をひいていく優。
その手は少し汗ばんでいた。

緊張が手の平から伝わる……


大水槽が再びあたしの目の前に現れた。






「水槽前のジンクス…。」


「告白?」





静かに笑って、優はあたしの手を離した。
そしてまっすぐな瞳であたしを見つめる……。





「俺、あきらめられねぇ。好きだ」


「……ごめ……」


「待った! その続きはさ、しばらく後にとっておいて!」





とっておく?

優は恥ずかしそうに笑うと、さっきと違う瞳であたしを見た。


いつの間にか強くなった。
大人になった。
男の人になった。


そんな優の優しさや強さに、心は揺れ動いていた。