規則の守護者

昔、と茜は話し始めた。


「昔、憧れていた先輩がいたんです。

……もう、殉職してしまって、今はいないんですけど」


茜は、高校で武道部に所属していた。

そこで出会ったのが、2学年上の、島崎透子という先輩。

女だったが、男の茜より強い。
背中で語るような、ブレない姿勢を持った人だった。


「先輩は、卒業後、警備の仕事に就いていました。

そこで、まあ、テロに巻き込まれたんです」


テロリストは、標的を確実に葬るため、最初に警備の者を狙ったらしい。

茜は、島崎の家族から、そう聞かされた。