規則の守護者

「じゃ、入ろうか」


金網に空いた穴を前に、少年は言った。


「でも、実験がだめになっちゃうよ」


少女が不安そうに渋る。

実験はとても大切なもので、大人達は「実験に協力しているから、私達は豊かな暮らしができるのだ」と言っている。

だが少年は、不敵に笑った。


「大丈夫だって。

今まで何度もあっちに行ったけど、平気だったじゃん」


彼の大丈夫という言葉を聞くと、不思議とじゃあ大丈夫だろうという気がしてくる。


本当は、皆分かっていた。

……実験がだめにならない証拠なんて、何1つ無い。

だが、皆は、彼の主張に納得してしまった。


駄目と言われて理由を尋ねたものの、

5人の子供達にとって、規則を破ってはいけない理由など、その程度のものでしかない。


理由があろうと、外へ出たいことに変わりはなかった。