規則の守護者

町の内側も外側も、林。

見渡せば、同じ景色が広がっていた。

鬱蒼と茂る、木々と藪。
どこかで小鳥が鳴いている。


だが景色は同じでも、そこはれっきとした町の中。

湿った濃茶の地面から伸びる、高さ3メートルの金網と、その上へ設置された観察カメラが、無言で境を伝えている。


だが。


「……何よ、これ」


そのカメラには、蜘蛛の巣。

フェンスの金網には、子供の背丈ほどの穴がある。


「まるでザルだわ」


脱走禁止とはいえ、これで外へ出るなと言う方が無理かもしれない。

瑞緒はため息をつき、近くに落ちていた木の枝で蜘蛛の巣を払う。