規則の守護者

瑞緒は茜へ駆け寄った。


抱き上げて、名を呼ぶ。

何度も。


呼ぶたびに、茜の顔へ涙が落ちる。

人肌の温度を持った滴。


「……泣かないで……下さい……」


茜はか細い声で宥めたが、瑞緒は泣きじゃくっていた。

涙で血を拭おうとでもするように。