変なことだけ覚えてるんだから。
「じゃあ付き合って貰おう…かな」
「おう」
この年のイブもクリスマスも、ムードも何もない悲惨なクリスマスだった…けど
一生忘れられないほどのものだった。
ふたりで過ごした、初めてのクリスマスだったから。
*
その後、何年もクリスマスはふたりで過ごしたけど、このクリスマスはお母さんである愛加の子供達に聞かせたくない思い出として語られることになる。
「つーかお母さん、すっげ鈍かったんだね。その時お父さんはもう好きだったんでしょ?」
「や、やめさせてよ宙…」
「まぁな…でも愛加はそんなヤツだったし」
「ケーキあげないよ」
「うわ、ごめんなさい」
……それはまた、別のおはなし。


