あたしの部屋はバルコニーのようになっていて二階。誰も入れるはずがない―…
カーテンをそっと開ける。すると白い息を吐く宙が見えた。まだ誰にも会いたくなくてすぐに閉めたけど…
寒いのに、何やってんの。馬鹿…
ケータイを開いて、宙の着信拒否を解除する。すると途端にメロディーが流れ出した。
「も、もしも…」
「ッ、愛加か?」
「うん…」
窓の外から声がする。あたしは息を整えて「どうやって登ったの」と問う。
「はぁ?気づいてんのか愛加。そりゃお前…俺の木登り能力なめんなよ」
庭の木を使ったなんて…
「なんで」
「え」
「なんでそこまでするの」


