はだかの王子さま

 ゴブリンたちの声に、とうとうあきらめたのか。

 星羅は、わたしを抱きしめる手をそっと緩めると、もう一度、深くため息をつき。

 あらためて話しを始めた。

「十年前のあの夜出来事は。
 確かに、君たちの言った通りだ」

「じゃあ、本当は、星羅は前王夫妻を殺してない!?
 だったらなんで、ウソの罪を被ったの!?」

 星羅が殺してないのなら……!

 正直『良かった』って『助かった』と全く思わなかったって言えなかった。

 不謹慎で、ゲンキンな『ホッとした』感覚の代わりに出て来た疑問にクビを傾げれば。

 今度こそ星羅は、答えた。

「前王夫妻のうち、后を殺めたのは判らない。
 が、少なくとも前王を殺害したのが誰かは……一目で判ってしまったからだ」

「……そのヒトは、誰なの?」

 わたしの言葉に、星羅は一瞬息を飲むと。

 静かに、はっきりその名前を出した。

「……フルメタル・ファング……だ」

 ……ウソ!

 だって、星羅のあげた名前って!

「お父さん!?」

『『マスター・ファング!?』』

 わたしは、驚いて声をあげ、ゴブリン二匹も、文字通り飛び上がった。

「前王を斬った致命傷は、魔剣0がつけた傷だったから、間違いないよ」

 リンゴをむいた時。

 星羅は、使った刃物をすぐに『0』と見破ったぐらいだ。

 前王の切り傷も見誤らないだろう。

 でも、よりにもよって、本当の犯人がお父さん、だつたなんて!!

 星羅の兄弟みたいな次代の王になれる王族が、暗殺を成功させた場合。

 ビッグワールドでは単なる『政権交代』で処理されることが多いけれど。

 お父さんみたいなせいぜい十五番目の王位継承レースとは関係ない、貴族が、王を殺せば。

 十年経った今でも、バレた時点で裁判なし。

 問答無用で、公開処刑されてしまうから。

 だから絶対、誰にも……真衣にでさえも言えなかったんだと、星羅は言った。