「だから、教えて?
わたしの両親がどんなヒトだったのか。
どうして、星羅が殺さなくちゃいけなかったのか」
わたしだって、星羅のこと嫌いになんて、なりたくないよ……!
そんな、必死の声に。
星羅はうつむいて、さらり、と月光色の髪の先をわたしの手の甲に落とした。
「真実……か。
僕は、真衣が、前王の娘だなんて知らなかった。
見慣れた姿の下にこんな姿を隠しているのも知らなかったけどね」
星羅は嘲(わら)った。。
「真衣の正体は……真実は、僕にとっての不幸だった。
……僕にも話せることが少しぐらいは、あるけれど。
それは、真衣にとって、不幸かもしれない。
それでも、聞きたい?」
至極真面目で、静かな星羅の質問に、わたしは、うん、と頷いた。
「だって、こんな大事なこと!
絶対、中途半端じゃ、終われない!」
「そうか」
わたしの決意に、星羅もまた頷くと、ゆっくりと話し始めた。
「昔、僕は『王子』のほかに、別の顔を持っていたんだ。
もちろん『コスチュームデザイナー』じゃない。
自分たちの血族の行く手を自ら排除する王族の端くれ。
こんなヤツのことを、ビッグワールドでは、美辞麗句を並べた格好のいい名前がついているけれど……
こちら側の言葉に直せばただの『暗殺者』だ」
「……暗殺者!」
恐ろしい職業の告白に、わたしは、震えかけた自分の手を握る。
……いやいや。
まだ、これは予測のつく範囲の話なんだけど。
名前しか呼べないわたしに頷いて、星羅は話を続けた。
「……あれは、十年前の夜だった。
このときは、まだ、前王がビッグワールドを統治していたものの、国民は前王に不信感を抱いてた。
原因は、色々あったけれど。
最下層のゴブリンたちを中心とした盗賊団が、ビッグワールドの広範囲を荒らし、それを捕まえられないことが、決定的にマズかった」
……え?
ゴブリン!?
「それって……ウチでお手伝いしてくれてる、ゴブリンたちの親ってこと?」
さっき、王さまから聞きかじった情報が気になれば。
星羅は『そうだ』と頷いた。



