私はふと、これが現実のことではないような気がした。
珊瑚の木から落ちて砂に溺れたあの夢のように、これもまた、どこかにいる私が見ている夢なのではないか。
そしてミュシャは、いまだにどこか遠くで幸せに溢れているのではないか。
「そこも、よくも笑いを途絶えさせたな!」
我に返れば、僧侶の褐色の手の平が目の前にあった。
私は悲鳴を上げて尻餅をつくが、手はそんな私の体を擦り抜ける。
そして、エンの腕を掴んで無造作に引っ張った。
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