「愚か者。酒のにおいがするぞ。酒におぼれて笑拝がままならぬなど、背笑千万!」




そうして男にこん棒が振り下ろされたところで、今度は別の僧侶が笛を鳴らす。




「そこ、背笑千万!」






背笑千万。そう言って、僧侶たちは老若男女をこん棒で叩いていった。

叩かれる者は、悲鳴を上げ許しを乞うだけではいけない。

笑わなければ、悔い改めたとは見なされないのだ。

もしも涙を流そうものなら、倒れて動けなくなっても叩かれ続ける。




その様子を見て顔をそむけたり、気の毒がる者はない。

笑っていなければ、
痛みをこうむるのは自分なのだ。





悲鳴と笑いが、通りを狂気に染めていく。