「あの文字がわかるのかい?」 「ええ。 ほぼわかっているはずよ」 ミュシャの言葉は、いま判明しているだけでも、七千をこえる膨大な量の文字によって紡がれると言われる。 解読表なしには、とても手に負えない。 その解読表も、たった一文字を追加するために気の遠くなるほどの時間を費やすのだ。 何十年も研究を続けてきた者ならまだしも、生まれて十年そこそこの子供が歌をそらんじるみたいに読み解くなど、信じられないことだった。