山ほどに腹の膨れた虫の子供。 アリジゴクという渦の主だったものだ。 地上では砂に隠れていた腹が、その実、身体のほとんどを占めていた。 八本の足は太く、長く、全部が身体の前を向いて付いている。目のようなものは見当たらず、顎だけが異常な発達を遂げたようだ。 アリジゴクは、積み上げられた珊瑚を一心に貪っていた。私のことも、さらには渦が消えたことも気にしていないようだ。 エンはその間近で、頬杖を付いていた。