前方に衝撃があった。
鈍い音が震え、船首が大きく持ち上がったかと思うと、私は宙に放り出されていた。船が珊瑚の残骸に乗り上げたのだ。
地面は思いのほか固く、私は二三回転がって止まった。砂が湿り気を帯びて、浜辺のようだった。
俯せになって目をまわしていた私は、遠くからのエンの叫び声に顔を上げて、滑り落ちてくる珊瑚の残骸を見た。
残骸とは言え、身体のどこかに当たれば、必ずその部分を壊すことはできただろう。私は歯を食いしばったまま動けなかった。
私の頭がまさに潰されようとする直前、しなるように振り下ろされた鋭い爪が珊瑚を砕いた。
渦の主が、再び腕を振り回していた。


