仮に化け物の正体が分かったとしても、なすすべは無かった。


流れに乗って、なるべく最期の瞬間を遅らせることが精一杯だと、青年は冷や汗変わりに笑顔を浮かべた。


私はまだ朦朧としていたので、青い空を見げながら、どこか他人事のような返事しかできず、エンは不機嫌な猫のようにため息をついて、私の脛に顎を置いた。





 「あのカゲロウの死骸が、どういうわけか化け物じみた赤ちゃんになったってわけね」

「そうなのか。信じられないことだらけだな。



いったい、何が夢で何が現実か、分からなくなってくるよ」