「どうかしら。大丈夫だとは思うけど」


「あなた様の見立てにゃ、真実も逆らえませんや。大丈夫でございましょう。
それにしても、その彼を見たところ、ここでは夢の中の出来事がうつつに繋がる様子。
ゾッとしませんな。そんな芸当ができるなんざ、羨ましいかぎり」


「たぶんこれも、魔素の乱れのせいでしょうね。
それとも、私がこの人の後ろ襟を掴んでいたのが悪かったかしら」





あれだけ砂にまみれたというのに、私の持ち物は綺麗なままだった。少ない機材に被害は無く、白紙の原稿が何枚か紛失した程度だった。


封をあけた携帯食も無事だ。



相棒に傷一つ付いていなかったことは予想通りだったが、レンズに若干の違和感があった。