バックパック越しに背骨に衝撃を受け、目を開くと小船の上だった。 砂漠を裂いて走る木造船。 舵をとるのは黒いスーツ姿の青年だ。 彼は真っ直ぐに伸びた杖のようなものを左右に倒し、巧みに桃色の流木をかわした。 青空のよく似合う青年だった。 カロットに似た鍔の無い大きな帽子を被り、金色の緩い三つ編みをはためかせていた。 「なんと太陽がすがすがしい日にございましょう。ヘドが出ますな!」