「なるほど、得体の知れないヨソ者には丁重にお引き取り願ってるわけか。まさに執事の鏡だ。
このぶんだと、ミュシャの方々からの歓迎は期待できないな」


「私はその方が都合が良いわ。無関心でいてもらえると、もっと助かるのだけれど」






 エンは遠慮した座り方をする。

列車の中であろうと、砂漠のど真ん中であろうと、おかしな林の中であろうと、それは変わらないようだ。

膝をきつく抱え、よりかかるわけではないが背後に壁を欲しがる。
ここでは珊瑚の木の幹だった。



光を帯びる鮮やかな桃色の前で、エンは余計に白く、脆く見えた。





 ごつごつとした珊瑚に背中を預けて、そんな彼女をぼんやりと眺めているうちに、私は彼女の白緑の服が気になっていた。