内向する私を引き戻したのはアルバートルだった。


「存じます、存じ上げますとも、皆さまのご苦労のほどは……。
ますが、ここで砂漠を濡らしていては、至悦のときは遠のくばかりにございます。
そろそろ出発といたしましょう。
さあさっ、我が背をご笑覧!」



巨体が止まりかけのコマのように反転して、それによって巻き起こった風が、私たちに無数の砂を投げ付けた。



ある者はよろめき、ある者は尻餅をつく中、私は無意識にエンを見ていた。


彼女は迷惑そうに眉をひそめていたが、誰よりも堂々と立ち、乱れた雪色の髪の下で金色の瞳を光らせていた。