案内という言葉を聞いて、一行の色が変わった。みんな互いに顔を見合わせ、目に涙を浮かべて頷き合い、静かな歓声を上げる。




「あなたが、ミュシャの案内者なのか!」

「おおついに、ついに」

「辛かった。だがやっと、三十年をかけてここまで……」




彼等がいかにミュシャを求めていたか、改めて思い知らされた瞬間だ。




 私は感情的にはならず、むしろ恥じていた。

私はあくまで、『パラディン』を追う旅の途中でミュシャに立ち寄る。

幻の絵画といわれるパラディンを相棒のフィルムに収めるまでは、喜ぶことはできない。


これは、彼らに対してあまりにも失礼なことなのだろう。