老紳士の言葉は続く。
「ようこそ、ようこそ皆様。よくぞここまで!
ワテクシはバトラー・アルバートル、執事にございます。
ワテクシはもう長い間、皆様の到着を待ち続けておりましたよ」
アルバートルは調子外れのテノール歌手のように口上を述べた。
彼の巨大な体は、砂漠に立って訪問者を待つ間、風で飢えをしのいでいるうちに作り上げられたらしい。
いつでも万全のもてなしをしようとポーズを決めていたら、いつの間にか両手が固まってしまったそうだ。
もちろん、本当か嘘か、定かでは無い。
「ワテクシの過去なる真偽のほどは、なゆたの果てに飛ばし去りましょう。さあ、参りましょう、参りましょう。
この不肖アルバートル、案内つかまつりますぞ!」


