広い世界をさ迷って、私は今日も、すず色の月の下で眠る。
行き場所は旅に出る前から分かっていた。
ただ、道が分からない。
いつごろからだろう。
無名の雑誌記者に過ぎない私の身の回りは、だんだんと非日常を帯びるようになってきた。
そうだ。あの絵だ。
この世のすべての色を溶かしこんだという、幻の絵画。
十重二十重の時代の霧に隠されたそれを追い求めるうちに、私もまた、幻想の世界に踏み込んでしまったのだ。
今ではもう、
妖精の羽音さえ聞こえてくる。
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