「なるほど。一般にはそうでしょう。しかし……結衣は生まれながらのセレブなんです。貧しい、いや慎ましい暮らしに耐えられるかどうか……」


「そんな事……。結衣はそれを承知で俺と結婚したはずです」


「まあ、そうでしょうけど、生活費も結衣の実家から援助してもらったらどうですか?」


「断る! 俺にだって、意地はある」


 そう言ってから、俺はある事に気付き「あ、クソッ」と呟いた。

 昨夜のケータリングの代金はどうやって払ったのか。俺は結衣に金を渡していないから、あいつは現金を持っていないはずなのだ。という事は、あいつはクレジットカードを持ってるに違いない。ふざけやがって……


 帰ったらすぐにあの女からカードを取り上げよう。それにしてもいい事に気付いたな。あいつからカードを取り上げ、俺は最低限の金しかあいつに渡さない。それが贅沢なあいつには、恰好の虐めになるわけだ……