そう一条陸は、キッパリと言い切った。


「確かに結衣はやつれています。見てられないほどに。しかし結衣は幸せそうでしたよ。毎日嬉しそうにしていました。それが今では、すっかり塞ぎ込んでいます。

 幸せって何だと思いますか? 金があれば幸せですか? 贅沢な暮らしをすれば幸せですか?

 俺はそうは思わないし、それは結衣も知っています。愛する人と暮らす事が、本当の幸せだという事を」


「しかし……」


「まあ、結衣は頑張り過ぎました。あれでは体を壊してしまう。そこは何とかしてもらって、結衣を幸せにしてくれませんか?」


「…………分かりました」