「これをあんたに渡します」


 一条陸は、手提げ袋から包みを取り出し、俺にそれを差し出した。それは、赤い包装紙でラッピングされ、金色のリボンが結ばれていて、手に持つと、フワッとして軽かった。


「これは……?」


「結衣からあんたへのプレゼントです。今日は誕生日なんですよね?」


 ああ。すっかり忘れていたが、そう言えば今日は俺の誕生日だった。


「結衣は家政婦から編み物も習っていました。あいつが生まれて初めて編んだ、手編みのセーターです。昨夜はこれを仕上げるために、徹夜したそうですよ。出来はともかく、着てやってくれませんか?」


 お嬢様の結衣が、俺のために編み物を……?

 そんな結衣の姿を思い浮かべたら、思わず目頭が熱くなってしまった。