黒目がちな目は、すぐには焦点が定まらないみたいで、結衣は一瞬ボーっとした後、俺に気付いてハッとした顔をした。


「た、孝司さん……?」


「ごめん、起こしちゃったな?」


「あ、私、降ります」


 俺に抱きかかえられてる事に気付いた結衣は、そう言って体をよじった。


「いいから。じっとして、しっかり俺に掴まらないと、落ちるかもだぞ?」


「はい」


 そう言って、結衣は遠慮がちに俺の首に手を回した。
 結衣のサラサラの髪の毛からシャンプーの香がし、甘い吐息が俺の顔に掛かると、俺の心拍数は一気に上昇した。


「あなた、お帰りなさい」


「ただいま。遅くなって、すまん」