しばらく浸かって、出る。身体と髪を吹いてパジャマである黒い浴衣を緩く着る。 髪はまだ濡れてるから、緩く後ろで縛って上にあげる。 そこでふ、と鏡を見た。 紅の髪 銀の瞳 美術品のような顔立ち こんな、ありえない私を人は皆羨み、嫌った。 『あげはさんの髪って綺麗な色ですね!』 (ほんと、気味悪い色) 『あげはさんの瞳、お人形みたい!』 (日本人なのにありえないし) 『あげはさんってほんと綺麗ですよね!』 (男を弄んでるって顔だよね) いつも言葉の裏にはそういう意味が含まれていた。