そして、紫苑の花が途切れた先にあった一つのドア。 そこだけ雰囲気が違う。威圧感、それに似た何かがある。 だがそれに戸惑うことなく扉を開ける。 入った瞬間に、クラッと来た。 薔薇の香りが充満していた。それに電気が付いていないから真っ暗で、私でさえ中が見えない。 それでも前に進んでいく。 後ろでバタン、とドアが閉まる音がした。 「紫苑?来たわよ」 「俺はここだ」 後ろからいきなり声がして振り返ろうとした。 でもそれよりも早く腕を掴まれ、唇を塞がれた。