「杏理?」 「は、はいっ!」 「ボーっとしてたけど、大丈夫?」 祐希は腰を屈めて私の顔を覗き込んだ。 「うん、大丈夫っ」 いつの間にか祐希は制服に着替え終わっていて。 「……」 「……」 「なんかムカつく」 思いっきり祐希のすねを蹴ってやった。 「〜っ!!」 祐希は声にならない声を上げ、痛みに耐えている。 ざまぁみろ。 ――私だけにドキドキさせやがって。