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再び雛とは引き離された。喚いても現状が変わるはずもなく、ただ部屋の隅っこにいた。

無音で冷たい空間に一人。

時間が経てば現状が変化する事は当然で、扉がススッと開けられた。


「雛は……雛は……っ!?」


真っ先に聞いたのは雛の事で、それを見た薺は焦るなと言わんばかりに微笑み、僕に近付いてきた。


「大丈夫だよ。約束通り何もしてないよ」


それを聞き、ほっと胸を撫で下ろすもまだ安心など出来はしない。

聞きたいこと、知りたいこと、沢山あるが兎に角今はそれよりも……


「――……出せ。ここから出せ」


望むのは脱出。