耳を塞ぐことも叶わず、身の毛もよだつ声を耳に容易く入れてしまう。 聞きたくない。聞かせないで。 「雛一人で歩けないね。大変だね。痛い?痛い?薺も痛いよ?」 「っ――」 「お前……っ!」 椿くんが動くも、私の事に意識を戻したのか立ち上がる事はなかった。 堪えるかのようにまた手に込める力が強くなり、自らを落ち着かせるかのように椿くんは息を吐く。 そして紡ぐ言葉。 「お前は、僕たちは幼いころから知っていたよな?どうして」 「あは。そう言うって事は薺の日記見たんだね」 どういう……事?