言葉の通り、誰が呼ぶわけでもなくお医者様が此方にやってきた。

その場に仰向けにさせられ、処置を施されていく。

体が熱くて息苦しくて、咳をしながらも痛みに息を漏らして耐える。手は椿くんに強く握られながら、耳は会話を捉えていた。


「何をされたのですか?」

「階段から落として、斧で足を斬っちゃった。でも、思いとどまったから傷も酷くないでしょ?」

「ええ。ですが、歩けるようになるまでは相当掛かりますよ」

「本当!?」


そこで、柊様は弾んだ声をあげる。会話が噛み合っていない。

喜びに満ちた声にしか聞こえず、比例するように私は絶望に塗れた。

それに呼応するかのように痛みで血管が激しく脈打つ。更に椿くんにしがみ付いた。