そこから更にページを捲る。やはり字が汚すぎて読めるものは少なかった。

……或は、わざと人には読めないようにしているのか。深読みし過ぎだろうか。

だが、読める内容が妙なのだ。


『とうさまがしんだ』

『かあさまがきえた』

『ひとりになった』


そんな、自分自身の事情にに関する事だけは、はっきりと読めるのだ。

伝えたかったのだろうか。これを誰かに、第三者に。


「……」


深く考えても結局全ては憶測にしかならない。それでも、確かに何かがあるのだ。

他に何かないかと本から顔を上げて押し入れの中を再び探る。

すると、また出てくる本。今度は少し黄ばんでいた。生唾を飲み、乾いた音を立てる本を開いた。