閉じ込められているのだろうか。と窓に張られた板を何とかしようと奮闘しているところに、浮かぶ推測。

だが。


「うっ……!」


不意に、どれくらい前の記憶なのかすら分からない光景が甦り、吐き気を催す。

それでも吐いた後に気を失えたのは不幸中の幸いだったのかもしれない。

もしもあれからも薺と対面していようものなら、僕は確実に気に触れていただろう。

それ程までにあの人……いや、人の形をした“何か”は危険な物だ。

とにかく、早く雛を探し出さないといけない。それが優先事項だ。

止まらない震えと吐き気を無理矢理に抑え込み、宛もない暗闇を歩き始めた。